講座内容 |
事業者は一定の危険・有害業務に労働者を就かせる場合に、免許、技能講習又は特別教育を受けたものを就業させる必要がある。 その業務の範囲・種別は労働安全衛生法などで規定され、いずれも原則18歳以上が受講資格。 また、法第119条には罰則(6か月以下の懲役または50万円以下の罰金)も規定されている。 |
概略 | |
技能講習 | 技能講習は、免許よりは権限が限定され、特別教育よりは高度な業務を行える。県労働局長登録教習機関により学科と実技の講習が行われ、修了試験により修了証が交付される。 また、内容の類似する免許や技能講習を修得している場合は、講習の一部が免除されることがある。 |
特別教育 | 労働安全衛生法では、一定の危険又は有害な業務に就く場合、事業者等が教育を行うよう規程されている。 特別教育は、各事業所(企業等)又は都道府県労働局長登録教習機関において行われ,安全衛生特別教育規定としてそれぞれの業務に必要な科目,履修時間が定められている。 |
安全衛生教育 | 労働災害を防止するために、就業に当たって必要な安全衛生に関する知識等の教育が、労働安全衛生法第59条に基づき規程されている。 |
1 | 玉掛け (吊り上げ荷重1t以上) |
技能講習 | 労働安全衛生法第61条,施行令第20条第16号により規定。 「制限荷重が1トン以上の揚貨装置又はつり上げ荷重が1トン以上のクレーン、移動式クレーンもしくはデリックの玉掛けの業務」に就くには、「玉掛け技能講習」の修了が義務付けられている。 ※ 荷物が1トン未満の場合でも、クレーンのつり上げ荷重が1トン以上である場合この資格が必要。 |
2 | ガス溶接 | 技能講習 | 労働安全衛生法第61条,施行令第20条第10号により規定。 「可燃性ガス及び酸素を用いて行なう金属の溶接、溶断又は加熱の業務」に就くには、「ガス溶接技能講習」を修了しなければ従事することが出来ない。 |
3 | フォークリフト運転 | 技能講習 | 労働安全衛生法第61条,施行令第20条第11号により規定。 フォークリフト運転技能講習は、都道府県労働局長登録教習機関により、運転技能講習規程(昭和47年労働省告示第111号)に基づき行われる。 既所持の免許・フォークリフトの実務経験の有無などにより講習科目や所要時間数は異なるが、原則は35時間の講習。 |
4 | 小型移動式クレーン運転 (5t未満) |
技能講習 | 労働安全衛生法第61条,施行令第20条第7号により規定。 小型移動式クレーン運転技能講習は、都道府県労働局長登録教習機関により、クレーン等運転関係技能講習規程(平成6年労働省告示第92号)に基づき行われる。 既所持の免許・修了済みの技能講習の有無などにより講習科目や所要時間数は異なるが、科目免除は教習機関の裁量で行われ、受講する教習機関によっては免除を受けられない場合もある。 |
5 | 高所作業車運転 | 技能講習 | 労働安全衛生法第61条、施行令第20条第15号により規定。 高所作業車運転技能講習は、都道府県労働局長登録教習機関においてより、高所作業車運転技能講習規程(平成2年労働省告示67号)に基づき行われる。 既所持の免許・修了済みの技能講習の有無などにより講習科目や所要時間数は異なるが、科目免除は教習機関の裁量で行われ、受講する教習機関によっては免除を受けられない場合もある。 |
6 | アーク溶接 | 特別教育 | 労働安全衛生法第59条,労働安全衛生規則第36条第3号でアーク溶接機を用いて行う金属の溶接、溶断等の業務に従事するには、特別教育が義務付けられている。 特別教育は各事業所(企業等)又は都道府県労働局長登録教習機関において行われ,安全衛生特別教育規定としてそれぞれの業務に必要な科目,履修時間が定められている。 |
7 | クレーン運転業務 (5t未満) |
特別教育 | 労働安全衛生法第59条,労働安全衛生規則第36条第15号でつり上げ荷重が5トン未満のクレーンの運転の業務に従事するには、特別教育が義務付けられている。 ※ クレーンの運転に必要な資格 ・つり上げ荷重5トン以上のクレーンの運転は、クレーン・デリック運転士免許もしくは旧・クレーン運転士免許が必要。 ・つり上げ荷重5トン以上であっても、床上で運転しかつ運転者が荷の移動とともに移動する方式のクレーンの運転は、技能講習が必要。 ・つり上げ荷重5トン未満のクレーンの運転は、特別教育が必要。 ・上位の資格があれば下位のクレーンを運転可能。 ・つり上げ荷重に関わらず、移動式クレーンを運転するには別の資格が必要。 |
8 | 低圧電気取扱 | 特別教育 | 低圧電気取扱業務は、労働安全衛生法第59条で「危険又は有害な業務」に指定され,事業者は、従業員に「低圧の充電電路の敷設若しくは修理の業務又は配電盤室、変電室等区画された場所に設置する低圧電路のうち充電部分が露出している開閉器の操作の業務」に従事させるときは、感電等の災害を防止するため規定された特別教育の実施義務がある。 ※ 低圧電気取扱業務を行う場合には、経済産業省の資格である電気工事士を取得していても、安全確保・事故防止の為、厚生労働省管轄の特別教育の修了が必要。 |
9 | 自由研削砥石 | 特別教育 | 労働安全衛生法 第59条,労働安全衛生規則第36条第1号で研削といしの取替え又は取替え時の試運転の業務に従事するには、特別教育が義務付けられている。 自由研削用砥石(砥石か加工物のいずれかが固定されていないもの)には、携帯用グラインダ ・スインググラインダ・卓上(床上)用グラインダ・切断機などの種類がある。 |
10 | 巻上げ機運転 | 特別教育 | 労働安全衛生法第59条,労働安全衛生規則第36条第11号で動力により駆動される巻上げ機(電気ホイスト、エアーホイスト及びこれら以外の巻上げ機でコンドラに係るものを除く。)の運転の業務に従事するには、特別教育が義務付けられている。 |
11 | 粉じん作業 | 特別教育 | 労働安全衛生法第59条,労働安全衛生規則第36条第29号で粉じん障害防止規則第2条第1項第3号で特定粉じん作業に係る業務に従事するには、特別教育が義務付けられている。 ※ 特定粉じん作業の例 ・坑内において、鉱物等を動力により掘削する箇所 ・鉱物等を動力により破砕し、粉砕し、又はふるいわける箇所 ・鉱物等をずり積機等車両系建設機械により積み込み、又は積み卸す箇所 ・鉱物等をコンベヤー(ポータブルコンベヤーを除く。以下同じ。)へ積み込み、又はコンベヤーから積み卸す箇所(前号に掲げる箇所を除く。) ・屋内の、岩石又は鉱物を動力(手持式又は可搬式によるものを除く。)により裁断し、彫り、又は仕上げする箇所 ・屋内の、研ま材の吹き付けにより研まし、又は岩石若しくは鉱物を彫る箇所 ・屋内の、研ま材を用いて動力(手持式又は可搬式によるものを除く。)により、岩石、鉱物若しくは金属を研まし、若しくはばり取りし、又は金属を裁断する箇所 ・屋内の、鉱物等、炭素原料又はアルミニウムはくを動力(手持式動力工具によるものを除く。)により破砕し、粉砕し、又はふるいわける箇所 ・屋内の、セメント、フライアッシュ又は粉状の鉱石、炭素原料、炭素製品、アルミニウム若しくは酸化チタンを袋詰めする箇所 ・屋内の、粉状の鉱石又は炭素原料又はこれらを含む物を混合し、混入し、又は散布する箇所 ・屋内の、原料を混合する箇所 ・耐火レンガ又はタイルを製造する工程において、屋内の、原料(湿潤なものを除く。)を動力により成形する箇所 ・屋内の、半製品又は製品を動力(手持式動力工具によるものを除く。)により仕上げる箇所 ・屋内の、型ばらし装置を用いて砂型をこわし、若しくは砂落としし、又は動力(手持式動力工具によるものを除く。)により砂を再生し、砂を混練し、若しくは鋳ばり等を削り取る箇所 ・屋内の、手持式溶射機を用いないで金属を溶射する箇所 |
12 | 職長 ・安全衛生責任者(建設業) |
教育 | 職長・安全衛生責任者教育は建設業を対象業種とし、労働安全衛生法第60条で新たに職務に就く職長、又は作業を直接指揮・監督する者は、安全又は衛生のための教育を受講することが義務付けられている。 また、建設業における職長は、職長としてだけでなく安全衛生責任者としての責務をも的確に遂行する必要がある。 |
13 | 職長 ・安全衛生責任者能力向上(建設業) |
教育 | 労働安全衛生法第19条の2の規定等で、事業者には、安全衛生責任者には能力向上教育を、職長等には能力向上教育に準じた教育を5年に1回程度行うよう求めてられている。 |
14 | 職長教育(製造業) | 教育 | 職長教育は製造業・電気業・ガス業・自動車整備業・機械修理業を対象業種とし、労働安全衛生法第60条で新たに職務に就く職長、又は作業を直接指揮・監督する者は、安全又は衛生のための教育を受講することが義務付けられている。 |
15 | 刈払機取扱作業 | 安全衛生教育 | 労働安全衛生法第59条に基づく特別教育に準じた安全衛生教育で、刈払機作業の安全を確保し、かつ、刈払機取扱作業者に対する振動障害を防止すること等を目的として実施する。 |
16 | 有機溶剤取扱業務 | 安全衛生教育 | 労働安全衛生法第59条に基づく安全衛生教育推進要綱に沿った安全衛生教育で、有機溶剤中毒の予防対策の一環として、有機溶剤業務に従事する者に対し実施する。 |
17 | 振動工具取扱作業者 (チェーンソー以外) |
安全衛生教育 | 労働安全衛生法第59条に基づく安全衛生教育推進要綱に沿った安全衛生教育で、事業者は、チェーンソー以外の振動工具取扱者に対して、振動障害の防止のために安全衛生教育を実施するよう定められている。 ※ 対象となる作業は、 ・さく岩機、チッピングハンマー、リベッテングハンマー、コーキングハンマー、ハンドハンマー、ベビーハンマー、コンクリートブレーカー、スケーリングハンマー、サンドランマー等のピストンによる打撃機構を有する工具を取り扱う業務。 ・エンジンカッター等の内燃機関を内蔵する工具で、可般式のもの(チェーンソーを除く。)を取り扱う業務。 エンジンカッター、ブッシュクリーナー,ヘッジトリマー,携帯用の皮はぎ機, 携帯用のタイタンパー, 携帯用研削盤、スイング研削盤、その他手で保持、又は支えて操作する型式の研削盤(使用する研削といしの直径が150mmを超えるもの)を取り扱う業務(金属、石材等を研削し、又は切断する業務に限る)。 ・卓上用研削盤又は床上用研削盤(使用する"といし"の直径が150mmを超えるものに限る)を取り扱う業務(鋳物のばりとり又は溶接部のはつりをする業務に限る)。 |
18 | 新入社員 | 安全衛生教育 | 労働安全衛生法第59条で、事業者は、労働者を雇い入れたときは、当該労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、その従事する業務に関する安全又は衛生のための教育を行なわなければならない。(雇い入れ時安全衛生教育) 2.前項の規定は、労働者の作業内容を変更したときについて準用する。(作業内容変更時安全衛生教育) と規定されている。 |
19 | フォークリフト運転業務 従事者安全衛生教育 |
安全衛生教育 | 労働安全衛生法第60条の2第2項の規定に基づき示された安全衛生教育に関する指針によって、事業者はフォークリフトの運転に従事させる者に対して定期的に安全衛生教育を受けさせる努力義務が規定されている。 |
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